ベイビーベイビーベイビー
あれから彰人の元には、麻美から数回メールが届いた。
それらの殆どは短文でさっぱりしたものであったけれど、自分が麻美のことをどう思っているかはともかく、こんなにも歳の若い女性からメールがくるのであるから、口にこそ出さないものの、それはそれで彰人は嬉しかった。
それどころか、麻美の方は自分と付き合う事に前向きであるのであろうと勝手に推測を進めていたので、メールが届いているのを見つけると、携帯電話に向かい
「ほらみろ、俺だって捨てたもんじゃないんだ」
などと言いながら、なにやら余裕ぶってニヤニヤとするのだった。
とはいえ、こうして土産の菓子の山を前にしながら、この連休を真理江はどうして過ごしたのだろうとぼんやりと考えずにはいられなかった。
「くそっ! 見合いさえなければ、食事にでも誘えたものを!」
などと愚痴めいたことを言ってはみるものの、それはやはり多人数での事で、真理江に二人きりで出かける事を提案する勇気など、残念ながら彰人は持ち合わせてはいなかった。