ベイビーベイビーベイビー
 

 彰人は言葉を失った。


 というのも、「佐竹のような男の元に集まる女性とは、佐竹のステータスに惹かれているだけの、己には何の取り柄もない愚かな女性ばかりなのだろう」といった先入観を持っている節があり、彰人はそういった女性を心の何処かで蔑んでいた。


 だから今、彰人の目に写った佐竹に駆け寄る真理江でさえも、そのような女性と変わらない、どこかミーハーで、軽い女性に見えてしまったのだった。



 この時彰人は、真理江という女性に失望していくのを感じた。

 真理江は、自分の思い描いていた高潔で品格の高い女性では無かったのか?


 それは知ることのないストーリーの一部を勝手に切り取り、その上に推測した結果の、何しろ独りよがりな随分と自分勝手な失望であった。








~『ベイビーたちの日常、再び』彰人~

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