ベイビーベイビーベイビー
「え、――何? どういうこと?」
なにも覚えていない様子の真理江は、大きな目をさらに大きく見開きポカンとしている。
冴子は焼けたトーストにバターを塗りながら、できるだけ自然な風に、昨夜の出来事をかいつまんで真理江に話した。
しかし冴子のその配慮も虚しく、それは真理江にとって『衝撃』と言って良いほどの内容であった。
「どうしよう!
どうしよう、どうしよう!」
慌てる真理江に対し、冴子は、
「大丈夫よ!
真理江の寝顔は凄く可愛かったもの。
大体そんな事を佐竹さんが気にしているとは、とても思えないわ!」
と何やら余裕を見せた。
「だって佐竹さんよ?
冴子と違って、私は殆ど話した事もないのよ。
それに、佐竹さんは冴子の――… あぁ!
本当にごめんね、私、今日会社でちゃんと謝るから!」
情けない気持ちと申し訳ない気持ちで押し潰されそうな真理江は、
「本当にごめんね」
と繰り返し冴子に謝った。