ベイビーベイビーベイビー
真理江が狼狽えているうちにも、冴子によって、簡単ながら二人分の朝食が用意された。
「とりあえず、食べましょ?
これで遅刻なんてしたら、それこそ佐竹さんに合わせる顔がないわ」
冴子はそう笑うと、「いただきまーす」といって、音を立てながら茹でたてのウィンナーに噛みついた。
真理江もおとなしく、それに従った。
「真理江、別に私は佐竹さんの何でもないから、そのことなら気にしないでね。
それに昨夜はね、初めて素面の自分で佐竹さんと向き合えたの。
そしたら私たちってあまりにも不釣合いで、思わず我に返ったんだ。
もしかしたら、いい機会だったのかもね!」
冴子は肩をすくめながら、小さく笑った。
「冴子―……」
真理江は冴子の用意した朝食を有り難く食べながら、涙ぐむ他なかった。
「だから大丈夫って言ってるでしょ!」
冴子は更に明るく笑ってみせた。
そして、8時。
真理江は冴子と冴子の家を後にしたのであった。