ベイビーベイビーベイビー
 

 現実に戻るように、真理江は改めて自分の部屋を見渡した。

 当然のように、キッチンには祥吾の茶碗や箸、マグカップなどか残されたままであった。


「お別れか――…」

 真理江は溜め息をひとつついた。


 そして、

「いい機会かしらね」

と言いながら立ち上がると、それらが目につかないよう、暗い引き出しの中にしまった。







~『ベイビーたちの変化』 真理江~

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