ベイビーベイビーベイビー
 

 綾乃の姉は、

「綾乃ちゃん、初七日って大切な日なのよ。
 祥吾さんが三途の川の畔に着いたんだから。
 ここからは、せめて穏やかな川を渡らせてあげたいじゃない。
 もしかしたら、うちのご先祖様が助けてくれる事があるかもしれないし」

と、今日が祥吾の初七日であることを、改めて綾乃に告げた。


 それに対して、綾乃はとても冷めた調子で、

「お姉ちゃん、随分と詳しいのねぇ」

とぶっきらぼうに答えただけだった。


 とはいえ、そのような綾乃には慣れている姉である。

「あちらのお祖母ちゃんが亡くなったときに勉強したのよ。
 結婚してすぐだったしね。
 田舎の家だし、嫁が“知らない”じゃ済まされないでしょ?
 と言っても、私にできる事なんて限られているんだけどね」

と、初めてきちんと葬儀に臨んだ日々を思い出した。


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