ベイビーベイビーベイビー
 

 姉は綾乃がやり直すには、まず綾乃を現実と向き合わせるしかないと思った。


「三十五日や四十九日の法要は呼ばれているんでしょう?」

 その問いに、

「大丈夫よ、呼ばれているわ」

と力強く答えたのは、綾乃ではなく母親であった。

 綾乃はそれすら母親に任せきりであった。


 姉は綾乃の事がますます心配になった。


「これから綾乃ちゃんが出来ることって言ったら、祥吾さんの魂を穏やかに送り出してあげることと、綾乃ちゃんが立ち直って新しい人生を歩むことしかないんだから」


 しかし残念ながら、それらの言葉も綾乃に届いたようには見受けられなかった。








~『ベイビーたちの時間』 綾乃 ~


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