ベイビーベイビーベイビー
しかし彰人の会話というのは、その内にも段々と変わり、
「そういえば、また今度仲間で飲み会やろうと思うんだけど、小林さんも来ない?」
結局いつも最後には食事やら飲み会やらの誘いとなり、それが分かっているだけに、真理江は出来るだけこの男と顔を合わせたくなかった。
「そうですか。じゃあ、都合があえば……」
これまた無難な返事で返しつつも、真理江にはプライベートな時間まで彰人たちと過ごす事など、とても考えらず
――…早くエレベーター、来ないかしら。
不自然な笑顔を保ちつつ、こうして真理江は、彰人と顔を合わせる事が、ますます面倒に思えた。
一方、彰人はというと、理想であり、憧れの人である真理江と、朝から一緒になれた幸運に、この行列の中で唯一、満足そうな笑顔を浮かべているのだった。
〜『ベイビーたちの日常』真理江〜