ベイビーベイビーベイビー
何より、あのようにネットだからと調子にのって暴言を吐いている小島であっても、これから何度か麻美と会う内に気持ちが変わることもあるだろう。
自分の思い違いや一時的な感情で、麻美に廻ってきた縁をあっさりと自分が壊ししてはいけない気がした。
麻美が手に入れかけている幸せを、自分などが奪ってはいけない気がした。
最近は恋愛すらすっかり遠のいている藤堂には、麻美と同じくらいに結婚というものが分からない。
そして自分のような普通のサラリーマンの考える「結婚」と、何かにつけて恵まれた環境で育った麻美の考える「結婚」が同じものなのかどうかなど、もはや全く推測のできるものではなかった。
「麻美ちゃんの人を見る目を信じるよ」
そんなこともあって、結局今夜も藤堂は、そんなありきたりな言葉しか麻美にかける事ができなかった。