ベイビーベイビーベイビー
春の風は時折強く、百合子の家の植木を揺らす。
相変わらずゆっくりとした時間を過ごしながら、百合子は窓越しに、百合子の愛するバラ“ティファニー”に蕾がきているのを見付けた。
「あぁ、何とか上手くいって欲しいわ……ねぇ?」
その問いかけに、向かいで谷崎文学を片手に珈琲を飲んでいた百合子の夫は
「お前の思い通り、そんなに上手く行くわけがないよ」
と呆れた風に呟き、鼻で笑っているのだった。
~ 「ベイビーたちの日常」 百合子 ~
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