ベイビーベイビーベイビー
 

 実は麻美にとって、見合いは初めてではなかった。



「お見合いって、こんな感じなんだ。
 ふーん。何だか緊張して損しちゃったわ!」

 初めての見合いに臨んだときの感想はというと、こんな風であった。

 想像以上に坦々とこなされる一連の行程はとても事務的で、麻美には何だか拍子抜けだったのだ。


 昔は“YES”しか存在しなかったかもしれないこの古来の風習であるが、“NO”も加わった現代では、まるでデパートで好みの商品を選ぶようで、薄情なほどの利便性さえ感じられた。


 仮に興味がもてなくても(“NO”だった場合でも)、断るという面倒な作業は二人を取り持つ“お仲人さん”がしてくれるのだから、これ程ありがたい事はない。

 そんな気楽さと、条件はバッチリである見合い相手を思い、まだ幾日もあるのだが、麻美は期待に胸を膨らませていた。


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