ベイビーベイビーベイビー
彰人の背中を押すように会社では新期を迎えたばかり。
彰人の部署には配属はなかったが、同僚のところには4月に入社したばかりの新入社員がいた。
新人を迎えての懇親会。飲み会を催す理由として、これほど健全なものがあるだろうか。
それに(これは彰人の推測であるが)、あの真理江がとても年下の社員を男性として見ることもないであろうから、要らぬ心配もない。彰人にとっては願ってもないチャンスであった。
胸の内を正直に明かせば、いまいち派手さに欠ける自分が 真理江に吊りあう男でない事を、彰人自身も十分に分かっている。
自分にそんな自信があれば、間接照明の効いたもっと高級で雰囲気のよい店を選び、とっくに真理江一人を誘い出していただろう。