ベイビーベイビーベイビー
 

 瞬時にして眉間に現れた皺に右手を当てた真理江は、目を閉じると 軽く首を横に振った。


 真理江のそんな様子を、出勤して来た同僚である冴子(さえこ)が、先程から黙って見ていた。

 朝は頭がぼんやりしている冴子であるが、直感でその理由を覚った。

 冴子は真理江のところにこそこそと近づくと、彰人から送られてきたURLだらけのメールを、真理江の肩越しに眺めた。

 
「小島さんからまたお誘い? 本当に熱心ねぇ」


 入社以来、真理江とは公私に渡り親交の深い冴子は、真理江を冷やかすように耳元で囁いた。


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