ベイビーベイビーベイビー
「冴子のように、私はうまくは出来ないわ」
真理江は小さく呟いた。
そして、
「いつからかしら、私の日常ってハードル走みたいなのよね。
決して走り高跳びでも、走り幅跳びでもなくてね。
ゴールが見えないハードル走みたいなの。
辛くても、跳ばなければ転んでしまう。立ち止まれば 跳ぶ事すらできなってしまう。
だから私は怖くて止まれないのよ」
止まりたいのに。
少し休みたいのに――。
真理江はそんな顔をして、今の自分をハードル走に例えた。