ベイビーベイビーベイビー
“とにかく、急ぎすぎですよ――”
実は今朝、融資を打診していた銀行の担当者から、新しく始めようとしている新規事業の計画案の更なる具体化やら採算予想のダメ出しやらを要求する返事が、祥吾の元に入っていた。
「急ぎすぎか……」
しかし銀行側の要求は、もっともの事であった。
祥吾も当初からこの計画を推し進めるのには、少し無理があると感じていた。
上から手渡された事業計画や採算の見通しも、甘いと感じていた。
急ぐ理由はといえば、一刻も早く他社との差別化を図りたいという幹部らの切望ゆえだったのであるが、それにより“見込み”の数字がいつの間にか“希望”の数字にすり替わり、“勢い”だけで進めているように思えてならなかった。