ベイビーベイビーベイビー
「また残業かぁ……」
「まぁな、銀行が簡単にお金を貸してくれる時代じゃないからな。
しかし、面倒臭いよなぁ……」
新規事業立ち上げという初めての大きな目標に向かい、意欲を見せていた後輩の社員たちからも、途端にボヤキがもれ始めた。
これまでスムーズに生きてきた若者たちが大半であるし、“躓く”という事はその大抵がやる気を削がれるであろう。
これは祥吾自身にも覚えのある感覚であった。
祥吾はボヤく後輩たちに向かい、
「あぁ、そうだよ。残業残業!残業するぞ!
それとも何か?お前らは俺と残業するのがそんなに嫌なのか?」
と言って笑うと、先ほどの会議の資料を高く掲げた。