Black Light

地面に落ちても

何の音もしないそれに

恐る恐る手を伸ばすと

そこには知りたくもない現実が広がっていた


「湊の…
湊の馬鹿!」


短刀はゴム製の偽物


お互い揃いに揃って

どうしてここまで馬鹿なんだろう



あんな風に意気込んでおいて

結局二人とも決心がつかなかったなんて…


「どうしてよ…
湊…

どうして逝っちゃったの?
私を置いて…

ねぇ湊…
答えてよ!」


虚しく響く私の声に

湊が答えてくれることは

もう二度とない



冷たくなった湊の頬に手をかけ

そっと口づけをする



「湊…
愛してる・・・」






私の瞳から

再び一筋の涙が零れ落ちた





< 167 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop