Black Light
地面に落ちても
何の音もしないそれに
恐る恐る手を伸ばすと
そこには知りたくもない現実が広がっていた
「湊の…
湊の馬鹿!」
短刀はゴム製の偽物
お互い揃いに揃って
どうしてここまで馬鹿なんだろう
あんな風に意気込んでおいて
結局二人とも決心がつかなかったなんて…
「どうしてよ…
湊…
どうして逝っちゃったの?
私を置いて…
ねぇ湊…
答えてよ!」
虚しく響く私の声に
湊が答えてくれることは
もう二度とない
冷たくなった湊の頬に手をかけ
そっと口づけをする
「湊…
愛してる・・・」
私の瞳から
再び一筋の涙が零れ落ちた