Black Light

一か月ぶりの仕事を控えた前日


その日もいつもと変わらず、湊は私の自主訓練に付き合ってくれた


まだ思うように身体を動かすことはできないけれど

湊のおかげもあってか

以前より大分ましにはなったと思う



相変わらず湊は無愛想で

優しさの欠片もなかったけれど


それでも私たちの距離は一歩一歩

確実に近づいていった




「っ…」


「どうした?」


「ううん、平気。
ちょっと痛むだけ」


「平気って…
ちょっと見せて」


無理矢理腕を掴まれ

包帯を外される


「ちょっ…
湊!」


赤くただれた肌に

剥がれおちる皮


骨折はほとんど完治したものの

火傷の傷は深く

未だにこんな状態が続いてる


それでも何となく湊には知られたくなくて

今まであえて見せないようにしていたんだ



< 76 / 174 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop