【短編】後輩カレシ。
「あー!なにもってきてんのー?」
え……?
声のほうを振り向くと、そこには佐野くんがいた。
こっちに駆けてくる佐野くん。
その姿はやっぱりかっこよくて
「ぬいぐるみ!?もってきちゃだめだろこれーっ」
「い、いいのっ!」
少しだけドキドキする自分がいる。
「ったく、先生にはバレないようにしろよ?」
「もちろんっ」
そう言って佐野くんは去っていった。
ドキドキした。
でもそれは前の恋のドキドキじゃなくて、
アイドルを間近で見れたようなドキドキだった。
それがなんだか、ちゃんと佐野くんへの気持ちを卒業できたことみたいで嬉しかった。
私の好きな人は……
高野だもんね。
「やっぱり佐野先輩のこと好きなんですか。」