堕天使の涙
追跡
小一時間歩くと道路を挟み、向こう側に一人でゆっくりと歩く男を発見した。
恐らく六十にはなっているであろうその男は少し前屈みに杖を突きながら、ゆっくりとコンビニへ入って行く。
この男を逃せばもう人を殺せないのではないかというような焦りから私は横断歩道まで引き返す事無く、道の向こう側へと駆け出した。
渡り終え振り返ると、青年はゆっくりと横断歩道へと歩みを進めているのが見える。
青年がコンビニ前に現れると同時に老人はゆっくりと外へとドアを開いた。
別に目が合ったとしてもおかしい状況では無いが、私は目を見る事が出来なかった…。
右目の端にその姿をうっすらと捉えては目を伏せる。
正面から見るよりも余程怪しいものとは思いながらも、なかなか真っ直ぐに老人を見る事が出来ない。
老人は早速とばかりにタバコをふかし始め、歩き出す。
青年にちらりと視線を送ると、やはり浮かない表情を浮かべたままだった。
まるで私を止めようとしているかの様な…。
いや、そんなはずはない、悩んでいる余裕はないのだ。
意を決して振り返ると老人はもう姿を消していた 。
焦る気持ちを抑えながら私は駆け出し曲がり角を覗き混むと、すぐ目の前に老人は立っていた。
もう一人の老人と何やら立ち話をしている。
少し息を切らせていた私が妙に映ったのだろうか、彼等は話を中断し、同時に私に視線を送る。
まずい…。
瞬時に視線を反らし引き返そうとするが、そんな行動をとれば余計に怪しまれてしまうと思い直し、ゆっくりとそのまま歩みを進めた。
視線を真っ直ぐに保ちながら足早に…。
通り過ぎる私の真後ろで会話が再開されたのを確認し、とりあえず胸を撫で下ろす。
しかし、この後はどうすればいいか…。
もう振り返る事は出来ない…。
突き当たりを右に曲がった所で立ち止まり、即座に耳を澄ませるともう彼等の声は聞こえて来なくなっていた。
恐らく六十にはなっているであろうその男は少し前屈みに杖を突きながら、ゆっくりとコンビニへ入って行く。
この男を逃せばもう人を殺せないのではないかというような焦りから私は横断歩道まで引き返す事無く、道の向こう側へと駆け出した。
渡り終え振り返ると、青年はゆっくりと横断歩道へと歩みを進めているのが見える。
青年がコンビニ前に現れると同時に老人はゆっくりと外へとドアを開いた。
別に目が合ったとしてもおかしい状況では無いが、私は目を見る事が出来なかった…。
右目の端にその姿をうっすらと捉えては目を伏せる。
正面から見るよりも余程怪しいものとは思いながらも、なかなか真っ直ぐに老人を見る事が出来ない。
老人は早速とばかりにタバコをふかし始め、歩き出す。
青年にちらりと視線を送ると、やはり浮かない表情を浮かべたままだった。
まるで私を止めようとしているかの様な…。
いや、そんなはずはない、悩んでいる余裕はないのだ。
意を決して振り返ると老人はもう姿を消していた 。
焦る気持ちを抑えながら私は駆け出し曲がり角を覗き混むと、すぐ目の前に老人は立っていた。
もう一人の老人と何やら立ち話をしている。
少し息を切らせていた私が妙に映ったのだろうか、彼等は話を中断し、同時に私に視線を送る。
まずい…。
瞬時に視線を反らし引き返そうとするが、そんな行動をとれば余計に怪しまれてしまうと思い直し、ゆっくりとそのまま歩みを進めた。
視線を真っ直ぐに保ちながら足早に…。
通り過ぎる私の真後ろで会話が再開されたのを確認し、とりあえず胸を撫で下ろす。
しかし、この後はどうすればいいか…。
もう振り返る事は出来ない…。
突き当たりを右に曲がった所で立ち止まり、即座に耳を澄ませるともう彼等の声は聞こえて来なくなっていた。