sakura-N(Intron crack企画)
小柄な未央の足で追いつけるはずもなく、彼女の姿は一瞬で視界から消えた。

急いで窓から顔を出す。

小さくなる未央の姿。

精一杯の作り笑顔で、大きく手を振っている。


「がんばれ未央! 負けるな!」

その言葉が届いたのかどうか、彼女が小さく頷いたように見えた。

いっぱいに開けられた窓から、磯の香りがはいってくる。

駅を出て、次のトンネルを越えたら直ぐに海が見えるだろう。

再び硬いシートに体を預ける。

少し寒いが、窓を閉める力が湧かなかった。

それでも気持ちは晴れやかだった。
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