夜と私と月光少年 【短編】
第一夜 始まりの夜
「誰?」
闇の中の光に向かって、私は問いかけた。
これだけだと、多くの人は私を「間抜けだ」と笑うかもしれない。
存在すら無いに等しいものにその質問は不適切であり、そもそも質問することの意味すら無い、と。
正確に言うと、それは光などではなく。
月光に照らされ、"白"よりも"光"に近い色の服を着た、
私と同世代くらいの少年だった。