[短編集]恋花

そうやってクラスメイトたちと最後の時間を噛み締めていると、教室の前のドアから先生が入ってきた。

ひねくれてばっかりだった私は、先生にもたくさん迷惑をかけた。

わざわざプリントを届けてくれた先生を、いつもシカトしてた。

最後くらい、面と向かって『ありがとう』が言いたい。


「そろそろ廊下に並べー。
体育館に行ったら、すぐに入場だからな」


しん…と静まり返る教室。

みんな心に刻んでるんだ、本当に最後なんだと。

手のひらに、ぐっと力を込めて、足を前に出した。

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