[短編集]恋花
帰ってる間、あたしとハヤトは手をつなぐ。
これも、ハヤトのお母さんとあたしのお母さんが決めたことだ。
「ナツキ、お前さ、ちゃんと考えてくれた?」
「なにが?」
ハヤトが顔を赤くする。
向こうから野良犬がこっちに向かってくる姿が見える。
「なにが、って…。
だから、告白の返事だよ!」
静かな住宅街にハヤトの声が響きわたる。
ハヤトの声は無駄に響くから、今の言葉が周りの人に聞かれていないか心配だ。