[短編集]恋花

そんな些細な言葉にも、“恥ずかしい”という感覚を覚えてしまったあたしは、

それから1週間、ハヤトの誘いを徹底的に無視した。


『ナツキ、いつまでむくれてんだよ』


男子たちの冷やかしなんてお構いなしに、毎日下校時刻になるとあたしの前に現れるハヤト。

最初の2日くらいは『友達と帰るから』なんて嘘をついていたけど、

さすがに3日目、4日目になると、嘘も通用しなくなってくる。


『…むくれてなんかないもん』

『あいつらの言うことなんて気にすんなよ』

< 41 / 80 >

この作品をシェア

pagetop