[短編集]恋花
そんな些細な言葉にも、“恥ずかしい”という感覚を覚えてしまったあたしは、
それから1週間、ハヤトの誘いを徹底的に無視した。
『ナツキ、いつまでむくれてんだよ』
男子たちの冷やかしなんてお構いなしに、毎日下校時刻になるとあたしの前に現れるハヤト。
最初の2日くらいは『友達と帰るから』なんて嘘をついていたけど、
さすがに3日目、4日目になると、嘘も通用しなくなってくる。
『…むくれてなんかないもん』
『あいつらの言うことなんて気にすんなよ』