[短編集]恋花
「――!」
そこにいたのが、君だった。
誰もいないと思いこんでいたあたしは、そこに君がいたことに酷く驚いてしまった。
思わぬ展開に足が動かなくなってしまって、そこに立ち尽くす。
「お!こんな時間までなにしてたの?」
こんな風に真っ直ぐ、あたしだけに声をかけてもらったのなんて初めてだったから、嬉しかった。
と同時に、戸惑ってしまったんだ、こんなシチュエーションも初めてだったから。
またサッカーをしてたからなのか、君は、汚れた体操着を身にまとっていた。