[短編集]恋花
「あれっ、マキは?」
カイトたちとしゃべりながら、ふと、マキがいないことに気がついた。
俺が“マキ”と言った途端、カイトたちはおろか、クラスメートたちまで自らの動きを止める。
「そういえば、マキ、ここ1週間くらい学校来てないよな?」
問いかけているのに、誰一人として答えてくれる気配はない。
俺は、今の今まで一緒に会話していたダイキに話しかける。
「なあ、おまえら、なにも聞いてないの?」
本来なら、マキは今頃、俺たちと一緒にくだらない話で盛り上がっているはずだった。