[短編集]恋花
一方、女の方と言えば、両親のプレッシャーに押され、
わがままや意見を言うことさえ禁じられていた。
『相手の機嫌を損ねれば、婚約は破談になりかねない』、と。
そんな日が何年か続き、少女と男はようやく結婚することになった。
男は一家の大黒柱となり、家族を支え―――というシナリオ通りの家庭を、女は手に入れることはできなかった。
来る日も来る日も酒と女に明け暮れた少女の夫。
ある日、ついに押さえきれなくなった少女は、夫に申し出た。