[短編集]恋花
『おねがいします……!
どうしても、あなたがきちんとしてくれないと、私の身が持たないんです……!!』
それは、少女の悲しい叫びだった。
両親の為に、と、男を呼び戻せば、自分の体がいつか壊れてしまうことは目に見えている。
かと言ってこのまま放っておけば、折角自分の為に段取ってくれた結婚を無駄にすることと同じ。
『―――じゃあ、おまえは、俺に好きだと、愛してると言えるか?』
もちろん、男が少女に“愛してる”と言ったことなど一度もない。