[短編集]恋花
男はそれをわかっていた上で、少女に言葉を求めた。
少女には、男とは別に想いを寄せている人がいた。
そのことは、親友しか知らない。
愛してなどいない男に“愛してる”と言うのは屈辱だったが、親の期待がのしかかり、言わざるを得なかった。
『…あいしています……』
その日から、男は女遊びと酒をやめた。
変わりに、毎日のように少女の体を求めるようになった。
やめて、とどんなに叫んでも、男は
『お前があいしていると言ったんだろう』