[短編集]恋花
その伝説が、本物なのか、それとも作り出されたものなのか、それは誰にもわからない。
『振り向いたら――…』
振り向いたか振り向いてないかなんて、本人と女にしかわからないのだから。
目の前に広がる暗闇。
そして、不気味な女の笑顔。
女は今日も、叶うことのなかった恋の残骸を探し求めさまよっている。
マキもこうやって女の餌食になったのだろうか。
どうすれば呪いの螺旋に終止符がうたれるのか。
その答えを導き出せないうちに、俺の意識は途切れた。