夢(ほし)職人ムムとワガママな絵本
『いいわね、楽に大金が手に入って、羨ましいわ』
『本当。こんな程度の作品で食べていけるなんていいわね』
『何で、あいつの作品が?』
『納得いかない。悔しい…、憎い』
『妬ましい…』
たくさんの声が男性に降り注ぎます。
「うっ…」
男性は、その声たちから逃れようと耳を塞いぎました。けれど、声は止む事なく続きます。
「うわぁぁぁっっ!
もう、もうやめてくれ! ぼくはもう本なんか書きたくないっっ!」
男性は立ち上がり、見えない声たちに言いました。
そして、耳をふさぎおえつまじりに彼は泣き崩れました。
パッと明るくなりました。