爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
しばらくして和葉は、真幸が昨日自分を助けてくれた人に、似ている事に気が付いた。


ホームルームが終わると、クラスメイトの興味は真幸に集中した。


当の本人は、今にも寝てしまいそうなくらい、怠(ダル)い顔をしていた。


真幸を眺めていた和葉に、葉子が声を掛けてきた。


「何してんの?周防君に学校の事教えてあげなきゃダメでしょ。」


葉子の言葉の意味が分からず、和葉は聞き返した。


「なんで私が?」


可愛らしく首を傾(カシ)げた和葉の言葉には、純粋な疑問だけが感じられた。


葉子はため息をつくと、担任が言っていた言葉を伝えた。


「え、岩倉センセ、そんな事言ってた?私、全然覚えてないよ。それよりさぁ、周防君って昨日私を助けてくれた人だと思うの。」


そう言うと、和葉は再び真幸の方を見つめた。少し焼けた肌、無愛想な表情。


「でも、あの時と目の感じが違ったから、助けてくれ人だって気付くのに遅れちゃった。あの時はもっと…」


空気までも切り裂くような目をしていた…。


和葉は、少しづつ顔が赤くなっていった。


その変化を見て、葉子は再びため息を漏らした。
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