爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
「ちょっと、アンタは部活があるでしょ。鞄返しなさいよ!」


葉子は長身だが、秀一より10センチ程低い。鞄を高く掲げている秀一に手も足も出ない。


二人のやり取りをオロオロ見ていた和葉だったが、なだめるように言葉を挿(ハサ)んだ。


「葉子ちゃん、秀一君も来たがってるし、一緒に来てもらおうよ。」


和葉の言葉を聞いて、秀一は勝ち誇ったように笑うと、葉子の額にデコピンを1つ食らわした。


葉子は額を押さえもせず、秀一を軽く睨んで


「秀(シュウ)は鞄持ちだからね。」

と強がった。


秀一は、「はいはい。かしこまりましたよ、女王さま。」と笑うと、同じ陸上部の1人に部活を欠席すると伝えた。


秀一は、成績トップクラスの秀才。陸上では県の代表に選ばれている。柔道、空手共に段持ちの文武両道な模範生徒だ。


しかも顔まで良い…とくれば、存在そのものが嫌味だ。


実は当初、生徒会長は葉子と秀一のどちらかに…と言う話が来ていた。だが葉子の提案で会長は和葉で、2人が副として会長を支えると言う案を出したのだった。


そして現在に至(イタ)る。
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