爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
4年前に葉子の唇を奪った張本人だった。


「わぁ!ディラン先輩だ!!髪伸びてる!」


和葉は知っている顔を見つけたので、無邪気にはしゃいでいる。


和葉はキスの事を知らない。和葉がディランに好意を抱いていた事を知っていた葉子は、どうしても和葉に言う気になれなかった。


「ディランとキスしたって知られたら、和葉に嫌われるかも…。」


葉子にとっては、その方が恐かった。


「そうね、長いわね。」


葉子は漫(ソゾ)ろに返事した。


写真のディランは、自前の金髪を伸ばし、その均整の取れた彫りの深い顔立ちと相(アイ)まって、映画俳優のようだ。


真幸もイケメンなので、イケメン対決を試合に1つ盛り込み女性客をgetしようと言う作戦なのだろう。


プロ初試合の選手の写真が載ると言う事は、まずないので、主催者側に意図があると言う事だ。


「二人とも中川ディランと知り合い?」


「う、うちの学校の卒業生よ。葉子ちゃんと秀一君は同じ空手道場だったから、2人は仲良いわ。」


真幸も和葉が自分にだけ変な口調になるのは慣れてしまった。真幸は和葉を人見知りが激しい子だと誤解していた。
< 30 / 65 >

この作品をシェア

pagetop