爆走ハラスメント〜ツンデレ生徒会と硬派な王子達
「もし来たら、相手を秒殺して、葉子ちゃんを控え室に連れて帰る。」


これも本気だった。行けば控え室に連れて行かれるだろう。


「…分かったわよ。行かないわ。」


ディランは納得したものの、葉子を家まで送って帰ると言って聞かなかった。


しかたないので、和葉と葉子はディランに家まで送られた。


和葉は相変わらず、無言で葉子の陰から顔を出しながら恥ずかしがっている。和葉は好意のある相手の前だと無口になる。


今まではそうだった。


だか今回は…真幸に対しては何故かツンケンした態度をとってしまう。和葉自身がとまどってしまう程に。


和葉は、真幸に今までに感じた事のナイ感情を抱(イダ)いている自覚はあった。ディランや他の素敵だと思う男性には感じなかった愛(イト)しさを。


彼らに対しての想いは、ただの憧れだったんだと気付く程に、もうディランに対して昔のようなトキメキは感じなくなっていた。


この日和葉は初めてディランに言葉をかける事が出来た。


「送ってくれて、ありがとうございました。」


当たり前の挨拶。この一言を伝えた時、和葉は1つ階段を昇った気がした。
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