僕の左側
あいつは明日にでも帰ってくると、僕は思っていた。

だからあいつが家を出て行く時、僕は別れの言葉も満足に言わず、ありがとうも、まだ好きなのも、全く伝えないままだった。

もしあの時あいつがもう二度と帰って来ないと知っていたら、僕のこの心にあいてしまった大きな穴は、少しは小さかったのだろうか。
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