-片翼だけの天使-
僕は家へ着くとすぐ、冬椿に連絡した。


「りょうです。ポーチもらってきたよ。どうしようか。」


「ありがとう。明日の朝早いから、今日はもう休むわ。りょうくんポーチ預かっておいてくれない?」


「え、いいけど、大丈夫?」


「うん、明日一番の新幹線で大阪まで行くの。2泊の予定だから、管理人さんに鍵を戻して行くわ。帰ったら連絡するから。」

「うん、わかった。」


電話を切り、僕は感謝した。こんな事あるんだ。連絡するきっかけを失っていた僕に、神様がくれた小さいチャンス。いや、ビッグチャンスと言うべきかな。
少なくともこれで、一回は会えるし。僕は赤いポーチをしまう場所を探した。無くさないように…つーか、ここでいいよ…な。テーブルの上に置くと僕はちょっと冬椿の顔を思いだした。
そうか…大阪まで行くのか。

思いだしたように、夕食の残りを食べ終わった。


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