-片翼だけの天使-
僕は肩を揺すられて目が覚めた。蛍子の顔が目の前に見えて、びっくりして飛び起きた。どうやらソファーで寝てしまったらしい。毛布が体にかけてあった。
「あなたよっぽど眠かったのね、話しながら寝てしまったのよ。」
笑いながら蛍子に言われて、ぼーっとした頭がだんだんはっきりしてきた。蛍子は忙しそうに、身支度をしていた。
「今日もまた、どこかへ行くの?」
僕は起き上がって蛍子を見ながら言った。
「そうよ、今度は北の方へ行くの。」
それから忙しそうにキッチンへ行くと、トーストを運んできた。
「食べたら?」
それから僕達は2人、トーストを食べ始めた。
「ごめんなさいね、強引に連れて来ちゃって…。迷惑だった?」
蛍子はトーストをほおばりながら僕を見上げて言った。その目があんまり綺麗だったので僕はドキドキする。
「いや、大丈夫だよ僕は…心配しないで。」
そう言うのがやっとだった。