forget-me-not
「大丈夫?ゆいちゃん
 こんなにうなされて」


鏡夜は優しく髪をなでた


「―――悪魔かククッ酷いな・・・」
 

熱にうなされる私を楽しげな
微笑みを浮かべながら見下ろしている


怖い・・・


――違う



――寂しそう


鏡夜さんの笑顔は
泣いてるようにみえる・・・

『偽者の笑顔』


「なんで泣いているんですか・・・
 そんなに寂しそうな顔で・・」


朦朧とする意識の中で
そっと鏡夜の頬にふれた


困惑した険しい顔で
鏡夜は動きを止めた


「何を言ってるんだこの女・・
 熱で頭おかしくなったん
 じゃないのか」


パタパタ パタパタ


弥生さんの足音に気づき
ゆいの手を跳ね除けた


「ゆいちゃんお医者様がいらしたわよ」


医者を連れた弥生が部屋へ戻ってきた


「おやおや凄い熱が高いね」


「体力を回復させるために
 点滴をやりましょう

 それと熱を下げる薬を
 出しておきましょう

 後はゆっくり
 休ませて栄養のある食事を」


お医者さんと弥生さんの声が
遠くで聞こえる心配かけちゃたなぁ


そんな事を思いながら
また意識を失った

















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