forget-me-not
「ゆい?」

ヒィィィィィ〜

この世の者とは思えない冷たい声

「駄目じゃないか
 こんな所に座り込んじゃ」

ほらっ立ってポンポンッと
制服の汚れを払う


「あれっ
 汚れ落ちないなぁ・・」

ポンポンッ


「ご・・ごめんなさい
 鏡ちゃん大丈夫
 後で自分でやるから・・」

もう季節は春だって言うのに

寒い

寒すぎる・・・怖いよー

朔ちゃん助けて〜

「駄目だよ女の子が
 制服の汚れを
 そのままにしておくなんて」

大丈夫だと必死に首を振るが…
鏡夜の耳に私の言葉届かない


「ちょっとおいで
 すぐ終わるから」


チラッと神崎を見て

「君、ゆいの
 クラスメイト?」

「はっはい」

「わざわざすまないね
 校内を案内してくれてたのかな?」

「はい」

あれれ神崎君の目
キラキラしてる―――何で??

「でも今日はこのまま
 連れて帰っていいかな?
引っ越してきたばかりで
 この子やらなきゃいけないこと
沢山あってね・・・」
 
「すいません俺、気が利かなくて
 ホントすいません」

ペコペコ頭を下げながら
またあしたなぁ〜なんて手を
振りながら神崎は去っていった


ホント気が利かない・・


神崎のヤツ






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