forget-me-not
「ほらっ早く選べよ」

ムッとしながら鏡ちゃんは言った
さっきまであんなに泣いていたのが
嘘の様にゆいは目をキラキラさせていた

「ー―現金な奴」

ボソッと嫌味を言う

鏡夜を尻目にゆいはジェラートに
夢中だった

「じゃぁ
 パンプキンと~」

「―――とぉーだと」

ジェラートが凍ってしまいそうな声で
言った

「…だってグスッ」

鏡ちゃんは冷たい目で見下ろしながらも

「ああ~
 いいよ、いいよ
 ダブルでもトリプルでも
 なんでもいいから
 早く決めてくて」

「ではでは
 お言葉に甘えて
 パンプキンとチョコチップ
 とストロベリー!!」

「あ~じゃーそれ一つ」

あまりにも恐ろしい声と目つきに

店員さんの笑顔が引きつっている

「かっかしこまりました
 お待ちください」


あぁ…分かるよその気持ち
ゆいは心の中で頷いた






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