forget-me-not
鏡ちゃんは終止ムッとした顔を
してはいたけど結局本屋の後も
私を無理やり連れて帰る事は
なかった
本当は用事なんて何にもなかった
ような気がする
だって、鏡ちゃんは手に取る物
全部に興味なさそうな顔してた
案外正直なその表情が可笑しかった
しかも完璧に隠せてるって思ってる
所が可愛いとさえ思った
その日一日で私の鏡ちゃんに対する
印象はかなり変わった
今までみたいにただ怖いと思う事は
なくなるだろうなって思った
「さすがにもう帰んないとな」
時計は7時半を回っていた
「日、長くなったねまだ薄っすら
明るいよ・・・でも・・・そろそろ
帰らなきゃだね・・・」
「そんな顔するな兄貴なら大丈夫だ」
鏡夜はゆいの頭をポンポンと軽く叩いた
「――――ッ」
やっぱりそうか…鏡ちゃんは私の為に
連れ回してる振りしながら一日一緒に
居てくれたんだ
「何驚いた顔してんだよ?」
「だって鏡ちゃんほんとは用事なんて
無かったんでしょ?」
うるせぇ~なってそっぽを向くその顔が
また一歩鏡ちゃんと私を近づけてくれた
そんな気がした