人魚姫の涙~先生への想い~
1章 ココロの傷
ひとりぼっち
『あの子でしょ?転校生って。なんか暗くない?』
転校初日、何度その言葉を耳にしたんだろう。
うるさいなぁ。
あんた達には、関係ないでしょ。
悪かったね、楽しみだった転校生がこんなんで。
長い黒髪は、暗さをなおさら強調させるらしく、誰も近寄らない。
クラスに必ずひとりはいるような、誰にでもなれなれしく話しかけるいわゆる『いいこちゃん』は、私に笑顔を振りまく。
こういう子って、わからない。
話していることも全部軽く聞こえる。
裏で何思っているかなんて知らないけど。
「晴香ちゃんていうんだ、可愛いねぇ!髪さらさら~」
私はうつむいたまま、何も話さない。
明日にはこの子も離れていくだろうな。
ほら、反応がないから苦笑いしてる。
ほら、あっちのグループへ戻って行っちゃった。
全部予想通り。
気持ち悪いぐらい、あんた達の心が読める。
明日からひとりぼっちの始まりだ。