人魚姫の涙~先生への想い~


そうしてこの学校にやって来た。


もうみんなの視界から私は消えたはず。


これでいい。


これを望んでいたんだ。


ひとりぼっちを・・・。



先生達も最初は気を使っていたけど、きっと『友達のいない可愛そうな子』として見てる。



早く卒業したい。


さっさとこんなところ抜け出したい。


それでお父さんの家の近くの高校に通うんだ。


あんな家、二度と戻らなくなる。




体育の授業だからなのか、みんな移動を始めてる。



着替えてないし。



この間は体育の先生出張だから、自習だった。



一度目くらい出ておこうかな。



どうせ



『二人組を作ってください』とか言われて



ひとりぼっちで



可愛そうな子だって、思われるだけだけど。



誰もいなくなった教室で、ゆっくり着替える。


新しい体操着に袖を通す。


憂鬱。


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