人魚姫の涙~先生への想い~
やっぱ、始まってる。
体育館からボールをつく音が聞こえる。
もう面倒。
途中から行くと・・・変な目で見られるし。
でも、最初ぐらいは行っておいたほうがいいか、なんて思って・・・ドアを開けようとしたら
ガラッ!
心臓が飛び出るほどびっくりした。
ドアが勢いよく開けられた。
私は目を大きく見開いたまま、動けない。
この人・・・
背の大きな短髪の男の人が、私同様にびっくりしている。
「お前が水野だよな?転校してきた・・・」
大きな目をさらに見開いて、私の顔をじっと見る。
この人が体育の先生・・・?
「はい、そうです」
冷たくそう言い放った私に、その人は大きな右手を差し出す。
「よろしく!!今お前来てないから探しに行こうと思ったんだよ。よかった、来てくれて」
そう言って、私の右手を握った。