人魚姫の涙~先生への想い~


やっぱ、始まってる。


体育館からボールをつく音が聞こえる。


もう面倒。


途中から行くと・・・変な目で見られるし。



でも、最初ぐらいは行っておいたほうがいいか、なんて思って・・・ドアを開けようとしたら



ガラッ!




心臓が飛び出るほどびっくりした。



ドアが勢いよく開けられた。




私は目を大きく見開いたまま、動けない。



この人・・・



背の大きな短髪の男の人が、私同様にびっくりしている。



「お前が水野だよな?転校してきた・・・」



大きな目をさらに見開いて、私の顔をじっと見る。


この人が体育の先生・・・?



「はい、そうです」



冷たくそう言い放った私に、その人は大きな右手を差し出す。



「よろしく!!今お前来てないから探しに行こうと思ったんだよ。よかった、来てくれて」




そう言って、私の右手を握った。




< 11 / 97 >

この作品をシェア

pagetop