人魚姫の涙~先生への想い~
隣に座っても、うつむくばかりの私。
本当、なんだこれ。
何やってんだろ。
「まず、自己紹介。俺がお前の体育の先生です。名前は松戸浩介。よろしくな」
返事もしない私。
可愛くない。
「さっき急にいなくなったからびっくりしたよ。具合悪かったの?」
これだけは、本当のこと教えといてあげよう。
心配させるのはやだし。
首を横にふって、体育座りする。
「そっか。次回からはちゃんと出てくれると嬉しいんだけど」
そう言って笑ってる。
少し顔をあげて見ると、ん?って顔してこっちを見た。
「今日のさぼりは・・・免除しといてやるよ。だからさ、次はおいでな」
なんとなく
この人は嫌いじゃない
この人の話は
嫌いじゃない
きっと
いろんな人から好かれているような人
それから
授業が終わるまで
何を話すわけでもなく
体育館で二人で
過ごしてた。