人魚姫の涙~先生への想い~





「先生・・・!!」





初めて来た、先生のクラスの教室。


帰りのHRを終えて、誰もいなくなった教室で窓を閉める先生の後ろ姿・・・。




「おう、どうした?」




カーテンをまとめながら、振り向いてくれる。




「あのね、今日ね、先生が言ってくれたから・・・行動できたよ。自分のために」



言いたいことがありすぎて、うまくまとまらない。


それでも先生は聞いてくれる。



穏やかな顔で・・・。



窓からさすオレンジ色の光が、先生をもっと優しく見せる。





「よかったな!明日からもっと学校楽しみになったろ?」



「うん、ゆきも悠も、みんなも・・・仲良くしてくれるし。それに・・・」



それに、と言いかけて・・・



迷った。




『それに、先生もいるから』




そう伝えてしまいたかった。








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