人魚姫の涙~先生への想い~
「ピアノ習ってたの?」
「うん、昔。今はぜんぜんやってないけど」
「そっか。俺はピアノなんか無縁だったなぁ~」
重いキーボードを軽々とロッカーの上に置く先生の後ろ姿に抱きつきたいと思った。
こんなに近くにいるのに
自分から触れることすら出来ない
今きっと一番この人の近くにいるのに・・・
もどかしい
「お前もう帰るの?」
そんなこと聞かれたら、帰りたくなくなるんだよ。
先生は何も考えずに言っているんだろうけど。
「うん、帰んなきゃなぁ・・・やだけど」
心配をしてほしくて
わざと小さな声で、元気なさそうにしゃべってしまう。
私はずるい。
「最近どうだ?またどっか壊したりしてないか~?ははは」
元気のない私を笑わせてくれる先生に
気持ちを伝えてしまいたい。
好きですって
言いたい