人魚姫の涙~先生への想い~



下駄箱まで一緒に歩いた。


廊下の窓からさす光が、先生の目を細める。



もっともっと、下駄箱が遠ければいいのに。



先生は真っ直ぐ前を見て・・・隣を歩く。




「そういえば、仲良くなったんだなぁ、今井と」




先生は・・・目だけをこっちに向けて、つぶやくように言った。



「うん、仲良くなれたよ」



「クラスの奴らもいいやついっぱい居たろ?毎日楽しいか?」



ただ話しているだけなのに


きっと先生は誰にでも同じような態度なのに


なんだか泣きそうになる。



私と同じような状況な子がいれば


先生は今の私と同じように接するはず



それすらもわかっているのに



どうして



もしかしたら特別かなんて


考えてしまうんだろう



期待をしてしまうんだろう




絶対にそんなことありえないとわかっているのに








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